まず,色そろばんの構造上の特徴を以下のスナップで解説します。
一般的なソロバンは,一桁に一列の玉が対応していますが,色そろばんでは 一桁に二列の玉です。通常のそろばんとの大きく違います。
以下の図ではすべて346を示しています。通常のそろばんとの違いをご確認ください。
Pattern A
下図では,青玉が一列に3個,黄玉が一列に4個,赤玉が一列に6個あるので346です。
Pattern B
下図では,黄玉が2個ずつ二列に並んでいますが,黄玉が4個あることには変わりありません。また,赤玉も,2個と4個に別れて並んでいますが,赤玉が6個あることに変わりありません。
従って色そろばんは346を表しています,
Patten C
下図では黄玉,赤玉ともに左側の軸の玉を下ろしています。
しかし,青玉は左側に2個,右側に1個ありますが,青玉がが3個あることには変わりありません。
つまり,青玉が3個,黄玉が4個,赤玉が6個あるので,これも346です
Pattern D
赤玉が左側に3個,右側に3個あります。赤玉が6個あることには変わりないので,AからCと同様に考えて,これも346を表しています。
以上により,色そろばんは単に玉に色を塗って分かりやすくしたものではないことを理解していただけたと思います。色そろばんは,十進法の各位に対して2つの軸を対応させているのです。
また,通常のそろばんにはない可動目印に注意してください。
色そろばんの使い方は以下の通りです。
繰り上がりのないたし算
両替操作
繰り上がりのあるたし算
繰り上がりが2回あるたし算
繰り下がりのない引き算
繰り下がりのある引き算
繰り下がりが2回ある引き算
かけ算(2の段)
かけ算(5の段)
かけ算(7の段)
半分の数
半分の数(両替を使う場合)
割り算の意味
色そろばんを使った筆算
両替を使った小数の導入
他の教材との違い
基本的計算能力を養うための教材にはどのような機能が必要なのでしょうか。
・カウンティングができるか (カウンティングは数え上げのことです)
・subitizingができるか (非常に重要です)
・繰り上がりを体験できるか (見るだけでなく,手で触っての変化の体験。非常に重要です)
・短時間で操作を再現できるか (繰り返し学習には必要。同じ写真を何回も見るイメージです)
・加数と被加数を同時に表しているか。(足す数と足される数のことです)
・位取り記数法を表現しているか(十進法システムで数をあらわすことです。非常に重要)
これらのことを機能として持っている必要があります。
現在,市販されている教材は,おはじき,そろばん,百玉そろばん等がありますが,下の表のようにどの教材も,十分に満たしているとは言えません。
しかし,色そろばんは,これらの機能をすべて満たしてます(下の表の右列)
おはじき | そろばん | 百玉そろばん | 色そろばん | |
カウンティング | ○ | ○ | ○ | ○ |
subitizing | △ | △ | △ | ○ |
繰り上がり | × | ○ | × | ○ |
操作再現 | × | ○ | ○ | ○ |
加数と被加数の表示 | ○ | × | ○ | ○ |
位取り記数法 | × | ○ | × | ○ |
そろばんの例(5玉の存在が大きいですね)
百玉そろばんの例
米国でも百玉ソロバンが使われています。
色そろばん(2011年に誕生しました)